ワーキングメモリが低いとどうなる?発達検査で初めて知った子どもの頭の中

「また同じこと言ってる」と思ったことがある。

さっき伝えたばかりのことを、娘がまた聞いてくる。返事はするけど、会話が噛み合わない。「聞いてないの?」と思いながらも、なんとなく責められなかった。

そのもやもやの正体がわかったのは、娘がWAIS-IV(ウェクスラー成人知能検査)を受けたときのこと。検査結果の説明の中で、初めて「ワーキングメモリ」という言葉を知った。

「この数値が低いと、会話や勉強の場面でこういった困難が出やすくなります」と言われたとき、13年間の子育てのピースがパチパチとはまっていく気がした。

この記事では、私が検査を通じて学んだ「ワーキングメモリとは何か」「低いとどんな影響が出るか」「親としてどう接すればいいか」をまとめています。同じ状況のお母さんに届けば嬉しいです。

ワーキングメモリとは? 脳の「一時保存メモ帳」

ワーキングメモリとは、情報を一時的に頭の中に保持しながら、同時に何かを考えたり行動したりする能力のこと。

たとえば、「スーパーでキャベツと卵と牛乳を買ってきて」と言われたとき、その3つを覚えながら店内を歩き回る——そのときに使っているのがワーキングメモリです。

脳の「一時保存メモ帳」と思うとわかりやすいかもしれません。このメモ帳の容量が小さかったり、書いた内容がすぐ消えてしまったりするのが、ワーキングメモリが低い状態です。

ワーキングメモリはIQとは別の能力で、WAIS-IVでは4つの指標のうちのひとつとして測定されます。IQ全体が高くても、ワーキングメモリだけが著しく低いケースもあります。

ワーキングメモリが低いと、日常生活にどんな影響が出るか

ワーキングメモリが低い子どもには、次のような場面で困難が生じやすくなります。

会話で「噛み合わない」ことが起きやすい

話している途中で最初の内容を忘れてしまうため、会話がとぎれとぎれになったり、的外れな返事をしてしまうことがあります。「聞いてない」「ぼーっとしてる」と思われがちですが、本人は一生懸命聞こうとしています。

指示を一度では覚えられない

「宿題やってから、お風呂入って、歯磨きして」という複数の指示を一度に聞くと、途中から何をすればいいかわからなくなります。「また同じことを言わせて」とイライラしてしまいがちですが、これはさぼりではなく、ワーキングメモリの限界なのです。

勉強で「わかったつもり」が起きやすい

授業中に先生の説明を聞きながらノートを取るという「ながら作業」が苦手です。読んでいる途中で最初の内容を忘れてしまうため、文章の意味をつかむのに時間がかかることも多いです。

片付けや段取りが苦手

「まず何をして、次に何をする」という手順を頭に保ちながら行動することが難しく、途中で別のことに気を取られて止まってしまいがちです。

軽度知的障害とワーキングメモリの関係——WAIS-IVの指標の見方

WAIS-IVでは、全検査IQ(FSIQ)のほかに、4つの指標スコアが出ます。

  • 言語理解(VCI):言葉を使って考え、理解する力
  • 知覚推理(PRI):図や形を見て考える力
  • ワーキングメモリ(WMI):情報を一時保持して処理する力
  • 処理速度(PSI):素早く正確に作業する力

娘の場合、全検査IQは69で軽度知的障害の範囲でしたが、4つの指標の中では処理速度(82)がもっとも高く、ワーキングメモリ(76)がそれに続く形でした。

指標スコアには差(ばらつき)があることも多く、「苦手なことと得意なことが混在している」という状態を理解するために役立ちます。ひとつの数字だけで子どもの全体像を判断しないことが大切です。

また、軽度知的障害はワーキングメモリの低さと合わさることが多く、情報処理のあらゆる場面で時間がかかったり、手順を忘れやすかったりする傾向があります。

親としてどう接すればいい? 毎日の関わり方のヒント

ワーキングメモリが低い子への関わり方で、私が意識するようになったことをお伝えします。

①一度に伝えることは「ひとつだけ」

「宿題やって」→終わったら「お風呂入って」→終わったら「歯磨きして」。このように、ひとつずつ伝えるだけで、子どもが動けるようになることが多いです。まとめて言いたくなる気持ちはわかりますが、これが一番効きます。

②短く、はっきり話す

長い説明や回りくどい言い方は、聞いているうちに最初の内容が抜け落ちてしまいます。「〇〇してね」と短くシンプルに伝えるのが有効です。

③「また言わせた」と責めない

忘れることはさぼりではありません。ワーキングメモリの容量の問題です。「また?」という言葉が子どもの自己肯定感を少しずつ削っていきます。「そうだったね、もう一回言うね」に変えるだけで、子どもの表情が変わります。

④メモや視覚的なヒントを活用する

口で言うだけでなく、やることリストを書いた紙を目に見えるところに貼る。これだけで「覚えておく」負担が減り、行動しやすくなります。スマホのリマインダーや付箋なども有効です。

⑤得意なことを大事にする

ワーキングメモリが低くても、得意な分野は必ずあります。娘の場合は処理速度が比較的高く、13年間ピアノを続けてきた。苦手なことばかりに目を向けず、得意なことを伸ばす視点を持ち続けることが、長い子育ての中で親も子も消耗しないコツだと思っています。

もっと深く知りたい方へ——おすすめの本とサプリ

ワーキングメモリについてもっと詳しく知りたい、支援の方法を学びたいという方には、専門書を読むことをおすすめします。

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また、認知機能のサポートに、イチョウ葉エキスやDHA・EPAを含むサプリメントを取り入れる方も増えています。子どもへの使用は医師への相談が前提ですが、介護や育児で脳を酷使している親御さん自身のケアにも。

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まとめ

ワーキングメモリが低いことは、「やる気がない」「聞いていない」とは違います。脳の情報処理の仕組みの問題であり、本人にとってはとても消耗することです。

親ができることは、環境を整えること。伝え方を変えること。そして責めないこと。それだけで、子どもの毎日はずいぶん楽になります。

検査結果を見て途方に暮れているお母さんに、この記事が少しでも役に立てれば嬉しいです。

👇 娘のWAIS-IV検査全体の結果については、こちらの記事もあわせてどうぞ。

娘のWAIS-IV検査結果と向き合って。IQ69と言われた日のこと

※この記事は個人の体験と学びをもとに書いています。検査結果の解釈や支援方法については、専門家にご相談ください。

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