プーちゃん

母は、とても面白い人だった。よく笑う人だ。

私が18歳のとき、友達からの紹介で犬を家で飼う事になった。

犬種はシーズー。ブリーダー取引で一般家庭に飼われて行ったのだが、

家具やコードを噛むから手に負えないと、出戻ってしまった。

私はエルベ・シャプリエのバックを持って電車で、友達との待ち合わせ場所まで行った。

エルベにシーズーを入れて小田急線で帰って来た。

プーちゃんは手のひら位で、とっても小さくて、でもとってもやんちゃだった。

私が面倒を見るから!なかば強引に連れてきてしまったので、

私が学校に行っている間は、私の部屋で放し飼い。

母がパートから帰ってくると、部屋の中がうんちとおしっこだらけだったらしい。

結局全部母が片付け、その後プーちゃんのお世話は、ほぼ母がした。

私たちの家族に歴史を一番見ている子だった。いつも寄り添ってくれて、癒やしてくれた。

母は長年、父の通勤の駅までの送迎を行っていた。

父はしゃべらない人だったから、無言の時もあったかもですが、

駅までの10分程の道のりで母が一方的に話した。

それが忙しい2人の夫婦のコミニュケーションだったんだと思う。

プーちゃんは、その送迎に付き添うのが習慣だった。電話が鳴ると、母に付いていったものだ。

そんなプーちゃんも、びっくりの出来事があった。

母が父を乗せないで駅まで行ってしまったことだ。

いつものように朝車にプーちゃんを乗せて、

当然父も乗せたと思い込んで、駅まで出発!

いつも通り駅に到着して、「いってらっしゃーい!」と母は後部座席を見た。

きょとんとしたプーちゃんしか居なかったらしい。

母は、おかしくておかしくてニヤニヤしながら、父の乗っていない車で自宅に帰った。

当時、両親はまだ携帯電話を使っていなかったから、お互い連絡もとれずに

父はバスで行ってしまった。

母は、その日の深夜父を迎えに行き、2人で朝のことを笑ったらしい。

何十年たった今でも、たまに思い出してしまう。

母のおもしろさを象徴する思い出だ。

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