週5くらいのペースで、実家に顔を出している。
理由はシンプルで、母のことが心配だから。それだけだ。
夕飯前の、静かな緊張感
今日は、コープデリの配食サービスがない日。弟がお弁当を持って顔を出してくれる日ならまだいいけれど、そうじゃない日は実家の空気が重くなる。
リビングに入ったら、母がいなかった。機嫌が悪いサインだ。
寝室に呼びかけるより先に、まずキッチンへ。冷蔵庫の中を探って、あるもので夕飯の支度を始めた。チンできるものをいくつか並べていたら、母が自分からリビングに来てくれた。表情が少し柔らかくなっていた。
ちょこちょこ話しかけると、興味を持って聞いてくれる。この「ちょっとした会話」が、母の機嫌を戻すことがある。
「なんで!」と怒鳴る父と、解凍されていた肉
お風呂から上がってきた父が、夕飯の支度を見て声を荒げた。
「解凍してあったのに!」
でも、キッチンに肉は見当たらなかった。探してみると、冷凍庫の中に戻されていた。母が、一度解凍した肉をまた冷凍してしまっていたのだ。
たぶん、こういうことだったんだと思う。夕方に「夕飯を作ろう」と思って肉を出した。でもいざ夕方になると、作ることが辛くなって寝室にこもってしまった。その間に肉が放置され、気になって冷凍庫に戻した——。
父は冷凍庫を乱暴に漁り、その肉を取り出してドンと置いた。「そんなに怒らなくても」と、つい口から出てしまったけれど、私がわかっているのは一日のうちのほんのわずかな時間だけ。二人きりの時間に何があるか、私には想像しかできない。毎日一人で全部抱えている父を、責める気にはなれなかった。
父と母のすれ違いについては、認知症の母と、怒鳴る父と、疲れ果てた私の話。にも書いています。
「やる気がない」のではなくて
認知症が進むと、長年やってきた家事でもできなくなってくる。それは「やる気がない」のでも「サボっている」のでもなく、脳の機能が変化しているから。
母はずっと料理をしてきた人だ。どんなに大変なときも、家族のために手を抜かなかった。だからこそ、今の母に「料理をしなさい」と言い続けることが、本当に正解なのか、私にはわからない。
認知症ケアでは、無理に家事を続けさせるよりも、本人が楽しめる活動を取り入れることが認知機能の維持に効果的だと言われている。折り紙、音楽、簡単な園芸——「できた」という小さな達成感を積み重ねることの方が、今の母には合っているかもしれない。
私が黙ってレンジで肉を解凍して、料理を始めた。少し時間がかかったので、またおしゃべりをした。父のイライラが、静かに消えていった。
母のために、父のために、私にできること
二人分の夕飯をテーブルに並べて、「食べよう」と声をかけて帰った。
帰り道、今日は別冊マーガレットの発売日だったことを思い出した。バタバタしてうっかり買い忘れた。…あー、残念。
自分の「日常」を守ることも、介護を続けていくためには必要なことだと思っている。抱え込みすぎず、使えるサービスや道具を上手に頼りながら。
日常のケアについては、認知症の親の入浴介助、誰がやる?家族で試行錯誤した話や、認知症の母の洋服がカオス…タンスから全部出してしまう問題と私が試したことにも書いています。
母のために。父のために。私にできることを、一つずつ。
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