ひどい男

9月10日

母が昨日暴れて、父に蹴られ痣を作った。

私は父を責められない。

父の苦しみも分かるから。

でも、我慢しきれず母と同じ土俵に上がってしまった代償は大きい。

痣が消えるまで、母は父を責め続けるから。

「ひどい男だよ」「ここまでやるかね」「次にやられたら、殺してやる」

普通なら人がおおよそ口に出さないような暴言を出し続ける。

以前、怒りに任せて扉を思いっきり閉め、自分の指を骨折した。

その指が疼くのか、さすりながら、「あいつに指をへし折られた。素手で指を半対にされた。人間のすることじゃない」と毎日のように母は言う。

母の攻撃的な症状を担当医に相談することにしたが、母はもちろん父にも言えない。

病院は、母の保険証を持ってこないと診れない、自由診療なら可能だという。

父は母が穏やかに過ごせる事を一番に考えている。

一緒に病院に行くのに、本当のことを言えるのだらうか。父は、絶対に言わないだろう。

ましてや、病院に子どもである私が行く事など、100%許さない。

この状況で保険証うぃ持ち出すなど出来るわけない。

認知症は65歳以上の5人に一人と言われている病気なのに、こんな融通の効かない事ってあるんだ。

一番近くに居る家族は、自分は健康体でも、人間の尊厳を脅かすような暴言を言われ続ける。

認知症の母には、自尊心を傷つけないように話さなければならないというが、

家族の自尊心はどこに行くんだろう。

「殺せるなら、やってほしい」と、父は言った。

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