「母の通帳が使えなくなるってどういうこと?」
ケアマネさんからそんな話を聞いて、最初はピンとこなかった。でも調べていくうちに、これが本当に深刻な問題だと気づいた。診断されたら自動的に凍結されるわけではないが、銀行が「本人の判断能力が低下した」と把握したとき(窓口でのやりとり、家族からの申し出など)に、口座が凍結されることがある。介護費用の支払いも、施設への入居金も、すべてストップしてしまう。
うちはまだそこまで進んでいないけれど、「その時」に慌てないために、今から知っておいてよかったと思っている。
① なぜ認知症になると口座が凍結されるのか
銀行は、口座名義人が認知症などで「判断能力がない」と判断した場合、本人保護のために口座を凍結することがある。具体的には、窓口での様子、家族からの申し出、後見人の選任などをきっかけに、預金の引き出しや振り込みができなくなる。
問題は、凍結されてからでは遅いということだ。口座が使えなくなると、介護サービスの費用、施設の入居一時金、日々の生活費——これらをすべて家族が立て替えることになる。それが何百万円にもなることも珍しくない。
② 凍結されたらどうなる?実際に起きること
口座凍結が起きた後に家族が直面する現実を、具体的に書いておく。
- 特別養護老人ホームや有料老人ホームへの入居一時金(数十万〜数百万円)が払えない
- デイサービスや訪問介護の費用を家族が全額立て替えることになる
- 親の年金が口座に入っても引き出せない
- 成年後見制度の申請から後見人の選任までは、通常2〜4か月ほどかかる(医師の鑑定が必要な場合などはさらに延びることもある)
成年後見制度を使えば解決できるが、申請から認可まで時間がかかる上に、一度選任されると家庭裁判所の監督下に置かれ、自由に親のお金を動かせなくなる制約もある。
実は、家族が引き出せる場合もある——銀行協会の新しい考え方
2021年2月、全国銀行協会(全銀協)は、認知症などで判断能力が低下した本人の預金について、法的な代理人(後見人など)がいない家族でも、医療費や介護費用など「本人の利益が明らかな支払い」に限って引き出しに応じられる、という考え方を示しました。
ただし、これはあくまで各銀行が参考にする指針で、実際に応じてもらえるかは銀行ごとの判断になります。診断書の提出や使いみちの確認を求められることが多く、「いつでも自由に引き出せる」わけではありません。根本的な備えにはならないので、やはり元気なうちの対策が大切です。
出典:全国銀行協会「金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方について」(2021年2月18日)
③ 今すぐできる3つの備え
備え1:家族信託の検討
家族信託とは、親が元気なうちに、信頼できる家族(子どもなど)に財産の管理を任せる法的な仕組みだ。認知症になった後も、信託契約に基づいて子どもが介護費用の支払いや施設費用の工面ができるようになる。
口座凍結の影響を受けないのが最大のメリット。遺言書と違い、生前から使える制度なので、できるだけ早い段階で専門家に相談しておくのがよい。
(→ 家族信託とは?費用・デメリット・成年後見との違い——間に合わなかった私が、今だから伝えたいこと)
備え2:定期的な引き出しと現金の確保
完全な対策ではないが、認知症の診断前から必要な現金をある程度手元に置いておくことも一つの方法だ。ただし、これは一時的な対処であり、根本的な解決にはならない。
備え3:任意後見制度の利用
任意後見制度は、本人が判断能力のあるうちに、将来の後見人をあらかじめ決めておく制度だ。法定後見(裁判所が後見人を選ぶ)と違い、信頼できる家族や知人を後見人に指定できる。公証役場で契約を結ぶ必要があるが、柔軟性が高い。
3つの制度のちがいを比べてみる
| 制度 | いつ準備する | だれが管理する | 口座凍結の影響 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 家族信託 | 元気なうち | 信頼できる家族(受託者) | 受けにくい | 早めに柔軟に備えたい人 |
| 任意後見 | 元気なうち(公正証書で契約) | 自分で選んだ後見人(発動後は監督人がつく) | 発動後は管理可能 | 後見人を自分で決めたい人 |
| 成年後見(法定後見) | 判断能力が下がった後 | 家庭裁判所が選ぶ後見人 | 選任後に管理可能(時間がかかる) | すでに判断能力が低下している人 |
ポイントは、家族信託と任意後見は「元気なうちにしかできない」こと。成年後見は「判断能力が下がってからでも使える」代わりに、時間と制約があります——この違いが一番の分かれ目です。
私が感じた「早く動くべきだった」という後悔
母の認知症が進んで、いろんなことに追われる日々の中で、お金の問題は後回しにしがちだった。でも気づいたときには、もう「元気なうちに話し合う」タイミングを逃してしまっていた。
遺言書のことを調べたとき(→認知症の親でも遺言書は作れる?公証役場に行く前に知っておきたいこと)、初めて「財産凍結」という問題を知った。もっと早く知っていれば、と本当に思う。
このブログを読んでいる方は、おそらく今まさに同じ状況にいると思う。まだ間に合うなら、今すぐ動いてほしい。
家族信託の専門相談について
家族信託や認知症による資産凍結対策について、専門家に無料で相談できるサービスがある。「おやとこ」は、認知症による財産凍結に特化した家族信託の相談窓口だ。弁護士・司法書士と連携しており、状況に合ったアドバイスを受けられる。
まだ口座が凍結されていない今のうちに、一度相談してみることをおすすめしたい。
📌 認知症による口座凍結・資産凍結が心配な方へ
「おやとこ」は、認知症による資産凍結対策に特化した家族信託サービス。専門家に無料で相談でき、全国対応・オンライン面談もOK。親が元気なうちにしか使えない対策だからこそ、早めの一歩を。
よくある質問(認知症と口座凍結)
Q. 認知症と診断されたら、すぐに口座は凍結されますか?
A. 診断だけで自動的に凍結されるわけではありません。銀行が本人の判断能力の低下を把握したときに凍結されることがあります。
Q. 凍結されたお金は、家族が一切引き出せないのですか?
A. 2021年の全銀協の指針で、医療費・介護費など「本人の利益が明らかな支払い」に限り、家族の引き出しに応じる銀行もあります。ただし対応は銀行ごとに異なります。
Q. いちばん早く備えられる方法は?
A. 元気なうちにできる「家族信託」や「任意後見」です。判断能力が下がってからでは、これらは使えなくなります。
Q. 専門家への相談はお金がかかりますか?
A. 初回の相談を無料で受けられる窓口もあります。まずは無料相談で、自分の家庭に合う方法を聞いてみるのがおすすめです。
Q. 銀行の「代理人カード」や「代理人指名」は使えますか?
A. 多くの銀行で、本人が元気なうちに家族を代理人として登録できる「代理人カード」や「代理人指名手続き」があります。家族信託より手軽なので、まずは取引のある銀行に問い合わせてみる価値があります。ただし、本人の判断能力が低下してからは手続きできないため、こちらも早めが肝心です。
Q. 一度凍結された口座を、あとから解除できますか?
A. 本人の判断能力が回復しない限り、基本的には成年後見人を立てて管理する方法しかありません。手続きには時間も手間もかかるため、やはり「凍結される前」に備えておくのがいちばんの近道です。
まとめ:「その時」は突然やってくる
認知症による口座凍結は、ある日突然起きる。「うちの親はまだ大丈夫」と思っていても、診断のタイミングや銀行の対応によっては、あっという間に動けなくなることがある。
特養の申請と同じで(→特養は「その時」では遅い)、お金の備えも「早すぎる」ということはない。
👉 家族信託とは?費用・デメリット・成年後見との違い——間に合わなかった私が、今だから伝えたいこと
📋 介護保険外のサービスについて、まず相談してみる
財産管理の準備を進める一方で、今の在宅介護を少しでも楽にするサービスもあります。通院付き添いや定期的な見守りなど、「こんなことも頼めるの?」という小さな疑問も気軽に相談してみてください。
▶ 介護保険外の訪問介護・通院付き添いなら「イチロウ」に無料相談(完全無料)
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・財産相談ではありません。実際の手続きは専門家にご相談ください。
▶ 介護に関するサービスや施設について、もっと知りたい方へ
24時間365日対応の介護保険外のオーダーメイド介護サービス【イチロウ】


コメント