認知症の母がデイサービスを嫌がる。通わせるまでの話

介護の知識

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「認知症の親がデイサービスを嫌がって困っている」「そもそもデイサービスって何をするところ?費用はいくら?」——そんな方へ。要介護1の母がデイサービスを嫌がり、定着まで1か月かかったわが家の経験をもとに、デイサービスの基本・費用の目安・嫌がるときの対処法を、体験を交えてまとめます。

診断の日、先生に言われたこと

母がアルツハイマー型認知症と診断されたとき、先生はこう言った。「デイサービスを利用しましょう。もし嫌なら、何か新しい習い事でも。今までやったことのないことに挑戦してみてください。それが一番の薬です。」

でも、その言葉を実行に移すまでに、約2年かかった。

きっかけは、父のことだった。母の介護を毎日支えているのは、同居している父だ。献身的で、文句も言わない。でも、私の目には、父が少しずつ削られていくように見えた。このままでは、父が壊れてしまう。そう思ったのが、介護認定を受けることを動かした一番の理由だった。

「それが一番の薬です」という先生の言葉を、家事のことと合わせて考えたことは、認知症の母に、家事をやらせたほうがいいの?に書いた。

認定からデイ初日まで、あっという間だった

介護認定を受けて、ケアマネージャさんを安心相談室の方に紹介してもらう。

自宅にケアマネージャさんが来て下さり、契約を結ぶ。

介護プランを立てて、実際に希望やプランに合ったデイサービスをいくつかピックアップ。

母は、猛反対した。「家にいたい」「なんでそんなところに行かなきゃいけないの」。父も最初は「必要ない」という立場だった。

ところが、ケアマネさんとの面談の中で、思いがけないことが起きた。それまで絶対に嫌だと言い続けていた母が、ケアマネさんの前で急に機嫌よく、「行こうかな」と言い出したのだ。

そのときのケアマネさんの段取りの良さは、本当に素晴らしかった。「お母さんがその気になっているうちに進めましょう」と冗談ぽく言いながら、あっという間にいくつかのデイサービスの候補と空きを調べてくれた。

「あんたは知ってたの?」——鳴り続ける電話

翌日には、介護施設の見学の予定が組まれた。

いくつか見て、決める。すぐに契約。1週間後にはデイサービスの予定が組まれた。

でも、認知症の母は、見学に行ったことも、「行こうかな」と言ったことも、片っ端から忘れてしまう。契約の話が進むにつれ、「父と私と弟が勝手に決めた」という構図になっていった。

そこから1週間、母はごね続ける。勝手に決められた。施設に入れられる。

1日に何度も、弟と私にかけてくる。「あんたは知ってたの?」

仕事中でもなんでも関係ない。一緒に住んでる父にはもっとだ。地獄だったと思う。

もう行かなくていい!

父が切れて断るために受話器を持つ。

断るのは当日でも大丈夫だよ。と私たちが言っても聞かない。

迷惑をかけるだろ!

父が怒る。

そんなやり取りが続き、仕事の調整をして、デイ当日実家に集まった。

母は行かないとごねている。私は「そうだね。やめとこう」と言う。

父が私に怒る。カオス状態です。

当日、母は「行ってくるね」と車に乗った

そんなこんなで時間となり、ピンポンと鳴った。迎えの車が到着したのだ。

母はバッグを持って、よそ行きの声で「行ってくるね。」と、何事もなかったかのように玄関へ向かった。スタッフの方に笑顔で挨拶をして、すたすたと車に乗り込んだ。

今までの1週間は何だったんだろう。

私は実家の門の外に出て、車が見えなくなるまで手を振った。デイサービスはお迎えの車が来る。72歳の母が、近所の人の目に触れる形で送迎されることを、二人は気にしないだろうかと、少し心配していた。でも、両親はまったく気にしていない様子だった。案外、当の本人たちは気にしていないことの方が多いのかもしれない。

振り出しに戻って、また一週間

帰ってきた母は、ご立腹だった。「こんな遅くまで連れて行かれた」と怒っていた。楽しかった、とはならなかった。

そして翌日には、振り出しに戻った。

「施設に入れられる」「誰が勝手に決めたの」

「今まで散々家族のため尽くして来たのにこの仕打ち?」と泣き出す。

また次のデイサービスまで毎日続くのです。

このループが、1ヶ月程続き、デイサービスが定着してきた。

今では、「行くからには楽しんで来るわ」と言ってます。

デイの回数を増やすか、父と話したこと

それから2年が経つ。今でも、行く前は毎回ごねる。それは変わっていない。でも、行けば「楽しかった」と言って帰ってくる。

父は、デイサービスの回数を増やすことをためらっている。毎回嫌がる母を見るのが、しんどいからだ。

そんな父に、私はこう言ってしまった。「お母さんが短い時間でもいない環境と、1日中いる環境。お母さんがごねることと天秤にかけても、デイサービスに行ってもらった方が、お父さんも少しはほっとできるんじゃない?」

父は、黙っていた。

嫌な言い方だったかもしれない。でも、介護をしている家族が少しでも休める時間は、絶対に必要だと私は思っている。母のためだけじゃなく、父のために。そして、介護を支える家族全員のために。

デイサービスに行かせて、よかった。今は、そう思っている。

通い始めたあと、続けるほうがずっと長かった。毎朝の嫌がり方と、うちがやっていることは別に書いた(→デイサービスを嫌がる母を、二年続けさせている方法——「行かなくていいよ」と言いながら時間を待つ)。

あとから知った、「家族からは言われたくない」ということ

あとから調べて、思わずうなずいたことがある。

認知症の人がデイサービスを嫌がるのは、わがままではなくて、ちゃんと理由があるらしい。新しい環境への不安。どこに連れていかれるかわからない恐怖。そして——「デイサービスに行け」と言われること自体を、屈辱だと感じる人が多いのだそうだ。「施設に入れられるのではないか」と疑う人も多いと書いてあって、母とまったく同じで驚いた。

中でも一番納得したのはこれ。「家族からは言われたくない」。家族の言うことは素直に聞けない——多くの認知症の人に当てはまる、押さえておくべきポイントなんだそうだ。

だから、父が言えば言うほどこじれたのか。だから、迎えの車——家族じゃない人——が来たら、母はよそ行きの声で乗り込んだのか。あの一週間の地獄と、当日のすたすたが、一本の線でつながった。

専門家のすすめは、家族が説得するのではなく、ケアマネジャーなど第三者に頼ること。うちの場合は、結果的に「迎えの車」が第三者の役割を果たしてくれたのかもしれない。

定着までに一ヶ月かかったのも、うちが特別こじれたわけではなく、よくあることらしい。今まさにごねられて消耗している人がいたら、これだけは言える。その地獄は、たぶん、いつか終わります。

デイサービス(通所介護)とは?何をするところ?

デイサービス(通所介護)は、日中だけ施設に通い、食事・入浴・機能訓練(リハビリ)・レクリエーションなどを受けられる介護保険サービスです。送り迎え(送迎)も付くのが一般的で、自宅まで車で迎えに来てくれます。

本人にとっては、人と関わり生活にリズムが生まれる場であり、家族にとっては介護から少し離れて休める時間(レスパイト)にもなります。「預けるなんてかわいそう」と感じる方もいますが、介護する側が倒れないために、デイサービスはとても大切な選択肢です。

デイサービスの費用はいくらかかる?

デイサービスは介護保険が使えるので、自己負担は原則1割(所得により2〜3割)です。費用は要介護度・利用時間・施設の規模・地域によって変わりますが、目安は次のとおりです。

項目目安(自己負担1割の場合)
サービス利用料(7〜8時間・通常規模)1回あたり 約700〜1,000円(要介護度が上がるほど高くなる)
食費(昼食・おやつ)1回あたり 約500〜800円(実費)
その他入浴加算・おむつ代などが別途かかる場合あり
1回あたりの合計おおむね 1,500〜2,000円前後

たとえば要介護1で7〜8時間利用する場合、サービス利用料の自己負担は1割で約700円前後、これに食費などの実費が加わって、1回あたり合計1,500〜2,000円ほどになるのが一般的です。

なお、1か月の介護保険サービスの自己負担には「高額介護サービス費」という上限があり、所得に応じて一定額を超えた分は払い戻されます。実際の金額は要介護度や施設で変わるので、ケアマネジャーや利用予定の施設に見積もりを出してもらうのが確実です。

※費用や制度は変わることがあります。最新は施設・ケアマネジャー・お住まいの市区町村でご確認ください。

認知症の親がデイサービスを嫌がるときの対処法

わが家もそうでしたが、認知症の親がデイサービスを嫌がるのは「わがまま」ではなく理由があります。新しい環境への不安、「施設に入れられるのでは」という疑い、そして「家族からは言われたくない」という気持ち。これをふまえると、対処のコツが見えてきます。

  • 家族が説得しすぎない。第三者に頼る:家族が言うほどこじれることがあります。ケアマネジャーや施設の人など、家族以外から伝えてもらうとすんなりいくことも。
  • 言い方を変える:「施設」「デイサービス」という言葉を避け、「集まり」「お出かけ」「リハビリの会」など、本人が受け入れやすい言い方にする。
  • まず見学・体験利用から、短時間で慣らす:いきなり長時間ではなく、見学や体験、短い時間・少ない回数から始める。
  • 本人の楽しみ・役割を作る:好きな活動(手芸・歌・体操など)がある施設を選ぶ、顔見知りがいる所にするなど、「行く理由」を用意する。
  • 「行きたくない」を頭ごなしに否定しない:「当日キャンセルもできる」と伝えて安心させると、かえって行けることがある。
  • 定着まで時間がかかるのが普通:数週間〜1か月かかることも珍しくありません。わが家も約1か月で「行くからには楽しんで来るわ」と言うようになりました。焦らないことが大切です。

よくある質問(認知症の親とデイサービス)

Q. デイサービスの費用は1回いくらくらい?

A. 介護保険1割負担で、サービス利用料が約700〜1,000円、これに食費などの実費が加わり、1回あたり合計1,500〜2,000円前後が目安です。要介護度・時間・施設で変わります。

Q. 認知症で嫌がるときはどうすれば?

A. 家族が説得するより、ケアマネジャーなど第三者から伝えてもらうのが有効です。見学・体験から短時間で慣らし、言い方を工夫し、定着まで焦らず待ちましょう。

Q. 見学や体験利用はできますか?

A. 多くの施設で見学・体験利用ができます。本人に合うか確かめるためにも、契約前の見学はおすすめです。ケアマネジャーに相談しましょう。

Q. 送り迎えは家族がしないといけませんか?

A. いいえ。デイサービスは送迎付きが一般的で、自宅まで車で迎えに来てくれます。

Q. 通い始めて定着するまで、どれくらいかかりますか?

A. 個人差はありますが、数週間〜1か月ほどかかることがよくあります。わが家も約1か月でした。

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