「親が介護認定を受けてくれない」「どこに相談すればいいかわからない」——そんな悩みを抱えている方に、私の体験が少しでも参考になれば、と思いこの記事を書きました。
母がアルツハイマー型認知症と診断されてから、実際に介護認定を申請するまで、約2年かかりました。この記事では、なぜそこまでかかったのか、何が転機になったのか、そして申請からサービス開始までの具体的な流れをまとめています。
認知症と診断された日のこと
母が脳神経内科を受診し、アルツハイマー型認知症と診断されたのは、ちょうど私との関係がぎくしゃくしていた時期のことでした。
久しぶりに、聞き慣れた母の声で名前を呼ばれた。母はいきなりハグして、「ごめんねー。悪かったね!」と言ってくれた。あ、お母さんだ、と思って涙が出た。でも、また一瞬で私を見る目が変わった。
その受診の場で、先生から「介護認定を受けるように」と勧められたらしい。しかし父は「必要ない」の一点張りでした。
なぜ申請まで2年かかったのか
診断後、母は月に一度の通院と投薬を続け、なるべく緩やかに病状が進行するよう努力していました。父も母も、介護認定という言葉に強い抵抗感を持っていたのです。
「まだそんな段階じゃない」「他人に家に入られたくない」——頑なな両親を前に、私と弟はずっと説得を続けていました。
転機となった出来事
状況が変わったのは、母のイライラが父に向かい、入院が必要になる事態が数回起きてからです。
入院中、母は父が入院したことを忘れてしまい「お父さんがいない!」と大騒ぎ。コロナ禍でお見舞いもできないのに「これからお見舞いに行く」と言い出して、弟と私を困らせることも続きました。私が心配する素振りを見せると「心配なんてしなくていい!」と急に怒ったりもしました。
このような状況が重なり、ようやく父が「介護認定を受けよう」という言葉を、思いの外すんなりと受け入れてくれたのです。
申請前にやっておいてよかったこと
私はそれ以前から、地域の「あんしん相談室」に個人的に相談に行き、現状を聞いてもらいアドバイスをもらっていました。相談のたびに言われたのが、「デイサービスは、お母さんにとって一番の薬ですよ」という言葉です。
介護申請の仕方や必要書類も事前に教えてもらっていたので、いざ父が首を縦に振ったとき、すぐに動くことができました。あんしん相談室を父に紹介し、一緒に話を聞いてもらったことも、父の理解を深めるうえで大きかったと思います。
迷っている方へのアドバイス:まだ申請に踏み切れていない段階でも、地域包括支援センター(あんしん相談室)への相談は無料でできます。「いざとなったときに動けるよう準備だけしておく」という気持ちで足を運ぶだけでも、大きな支えになります。
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介護認定の申請からサービス開始までの流れ
実際に申請してから介護サービスが始まるまでの流れを、私の体験をもとにまとめます。
- ① 申請:お住まいの市区町村の介護保険の窓口、または地域包括支援センターで申請します。本人や家族のほか、地域包括支援センターやケアマネ、施設が代わりに申請してくれることもあります。申請は無料です。
- ② 認定調査+主治医意見書:調査員が自宅などを訪問し、心身の状態を聞き取り調査します(認定調査)。あわせて市区町村からの依頼で、かかりつけ医が「主治医意見書」を作成します。
- ③ 一次判定:認定調査の結果と主治医意見書をもとに、コンピュータが判定します。
- ④ 二次判定:保健・医療・福祉の専門家による「介護認定審査会」が、一次判定や主治医意見書をもとに、最終的な要介護度を審査・判定します。
- ⑤ 認定結果の通知:原則として、申請から30日以内に結果が郵送で届きます。区分は「非該当(自立)/要支援1〜2/要介護1〜5」のいずれかです。
- ⑥ ケアプランの作成・サービス開始:要介護なら居宅介護支援事業所のケアマネ、要支援なら地域包括支援センターがケアプランを作り、デイサービスなどの利用が始まります。
ちなみに②の「主治医意見書」は、ふだんから母の状態を診てくれている主治医がいたので、スムーズにお願いできました。いざというときのために、かかりつけの主治医を持っておくと安心です。
母の場合は12月下旬に申請し、2月にはデイサービスとも契約できました。思った以上に早いペースでした。「早かったね」と父に話したら、「緊急だと思ったんじゃない?」と、久々にまともな会話ができた気がして、少しだけ笑えました。
同じタイミングで、配食サービスも契約しました。料理が母の機嫌が悪くなるスイッチになっていたためです。心底ほっとしました。
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介護認定の申請に必要なもの
申請のときに用意しておくと安心なものを、ざっとまとめておきます。
- 介護保険の申請書(窓口でもらえるほか、自治体のサイトからダウンロードできることも)
- 介護保険被保険者証(65歳以上の方)。40〜64歳の方は医療保険証
- マイナンバーがわかるもの・本人確認書類
- かかりつけ医(主治医)の情報(病院名・医師名)
必要なものは自治体によって少し違うことがあります。迷ったら、地域包括支援センター(あんしん相談室)に確認すると確実です。
要支援・要介護ってどう違うの?
認定の結果は、大きく「要支援」と「要介護」に分かれます。ざっくりですが、こんな違いです。
- 要支援1〜2:日常生活はおおむね自分でできるけれど、一部に支援が必要な状態。介護予防のためのサービスが中心になります。
- 要介護1〜5:数字が大きいほど、介護の必要度が高くなります。訪問介護・デイサービス・施設など、幅広いサービスが使えます。
もう少しくわしく、7段階それぞれの「状態のめやす」を並べると、こんなイメージです。
| 区分 | 状態のめやす |
|---|---|
| 要支援1 | 日常生活はほぼ自分でできる。一部に支援があると安心な状態 |
| 要支援2 | 立ち上がりや歩行などに不安定さがあり、予防的な支援が必要 |
| 要介護1 | 立ち上がり・歩行が不安定。日常の一部に手助けが必要 |
| 要介護2 | 食事や排せつなどに、見守りや部分的な介助が必要 |
| 要介護3 | 日常生活全般に介助が必要。認知症の症状が目立つことも |
| 要介護4 | 介助なしでは生活が難しく、意思疎通もむずかしくなることがある |
| 要介護5 | ほぼ寝たきりなど、全面的な介助が必要な状態 |
※あくまで一般的なめやすです。実際の区分は、訪問調査と審査によって一人ひとりの状態に応じて決まります。
認知症の場合は、身体は元気でも、判断や生活の面で支援が必要になるため、その状態に応じて区分が決まります。もし「思ったより軽く出た」「重く出た」と感じたら、区分変更の申請をすることもできます。
よくある質問(介護認定の申請)
Q. 申請は誰ができますか?
A. 本人や家族のほか、地域包括支援センターやケアマネ、施設が代わりに申請することもできます。
Q. 費用はかかりますか?
A. 申請自体は無料です。
Q. 結果が出るまでどのくらいかかりますか?
A. 原則として、申請から30日以内に通知が届きます。
Q. 親が認定を嫌がるときは?
A. まずは地域包括支援センター(あんしん相談室)に、家族だけで無料相談に行ってみるのがおすすめです。我が家もそうでしたが、第三者から勧めてもらうと、本人がすんなり受け入れてくれることもあります。
Q. 認定の有効期間はどのくらい?
A. 新規の場合は原則6か月程度(状態によって変わります)。期限が切れる前に更新の申請が必要です。状態が変われば、区分変更の申請もできます。
まとめ:動き出せたのは「準備」と「タイミング」だった
介護認定の申請は、本人や家族の気持ちの準備が整わないと、なかなか踏み出せないものです。私の場合も、診断から2年かかりました。でも、あんしん相談室への相談を続けて情報と書類を準備しておいたことで、父が首を縦に振った瞬間にすぐ動けた。それが大きかったと思っています。
「まだ早いかな」と思っている方こそ、今のうちに地域包括支援センターに相談しておくことをおすすめします。
ほっとしたのもつかの間、翌日からまた新たな壁が始まりました。介護はゴールではなく、スタートラインに立ったにすぎない——人生、本当に甘くはないですね。続きはまた別の記事で書きます。
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