母を介護しているのは、父です。
毎日そばで世話をして、優しくしたいはずなのに、ときどき強い言葉が出てしまう。そんな父の姿を見ていると、胸がぎゅっと痛みます。
私自身が介護の主役なわけではありません。「私がしんどいなんて、烏滑がましい」と思う日もあります。それでも——介護する人を、すぐそばで見守り支える側にも、確かにしんどさはあるのだと、最近わかってきました。
もし今、あなたが「介護している家族を支えながら、自分も少し限界かもしれない」と感じているなら。あるいは、あなた自身が介護の真っただ中にいるなら。この記事は、そのどちらのあなたにも読んでほしくて書きました。
つらいと感じるのは、あなたが弱いからじゃない
介護がつらいのは、愛情が足りないからでも、我慢が足りないからでもありません。
認知症の介護は、終わりの見えない毎日です。さっき言ったことをまた聞かれる。目を離せない。自分の時間がどんどん削られていく。これだけのことを毎日続けて、平気でいられる人なんていません。つらいと感じるのは、それだけ真剣に向き合っている証拠です。
支える側も同じです。がんばっている家族を近くで見ていると、「自分が弱音を吐いてはいけない」と、つい気持ちを飲み込んでしまう。でも、あなたの心がすり減っていいわけではないのです。
一人で抱え込まないために、まず頼れる場所
しんどさを軽くする第一歩は、「誰かに話す・頼る」こと。でも、いきなり身内に弱音を吐くのは難しいですよね。そんなときに頼れる、公的な窓口があります。
地域包括支援センターは、介護の困りごとをまるごと相談できる、市区町村の窓口です。「何から相談すればいいか分からない」状態でも大丈夫。介護している本人だけでなく、支える家族からの相談も受けてくれます。お住まいの市区町村名と「地域包括支援センター」で検索すると、担当のセンターが見つかります。
すでに介護認定を受けているなら、ケアマネジャー(ケアマネ)に「最近、家族みんな少し疲れていて」と一言伝えてみてください。介護プランの見直しや、後でお話しする「休むためのサービス」の手配も、ケアマネが間に入ってくれます。
我が家にも、そんな時期がありました。
母の症状が強く出ていた頃、機嫌が崩れると、物を投げたり、父とぶつかり合ったり——二人とも生傷が絶えませんでした。母の口からは、聞いているこちらの胸がつぶれるような、激しい言葉が飛び出すこともありました。「このまま何か取り返しのつかないことが起きてしまうのでは」。そんな不安を抱えたまま、毎日が過ぎていきました。
どうしたらいいか分からず、思いきって市役所へ行きました。そこで相談室を紹介され、一時間、泣きながら今の状況を話しました。
正直に言うと、それですぐに状況が変わったわけではありません。でも、「それは認知症ではよくあることですよ」と教えてもらえたこと、そして、ただ優しい言葉をかけてもらえたこと——それだけで、張りつめていた糸が少しだけゆるみました。
「自分たちだけじゃなかった」。そう思えたことが、何よりの救いでした。
「介護を少し休む」という選択肢——レスパイト
知っておいてほしい言葉があります。レスパイト。介護する人が、一時的に介護から離れて休むことを指します。
「親を預けるなんて、かわいそう」と感じるかもしれません。でも、これはサボりではなく、介護を長く続けるための大切な工夫です。短い休みで心と体が回復すれば、また優しい気持ちで向き合えます。それは、介護する本人にとっても、支える家族にとっても同じです。
具体的には、日中だけ預かってもらうデイサービス、数日〜1週間ほど施設に泊まってもらうショートステイなどがあります。利用の手配は、ケアマネに相談すればスムーズです。
デイやショートステイのほかに、介護保険外の訪問サービスという選択肢もあります。私が調べた「イチロウ」は、数時間の見守りや家事サポート、話し相手まで柔軟に頼めるサービスで、無料相談から始められます。
📋 介護を少し休む時間、つくりませんか
▶ 介護保険外の訪問介護「イチロウ」に無料相談してみる(相談は無料)
心が限界に近いと感じたら
もし、眠れない・食べられない・何をしても楽しくない・消えてしまいたいと感じる——そんな状態が続いているなら、それは「がんばりが足りない」のではなく、心が助けを必要としているサインです。
そんなときは、我慢せずに専門の窓口を頼ってください。お住まいの地域の精神保健福祉センターや、かかりつけ医、先ほどの地域包括支援センターでも、相談先を案内してもらえます。一人で抱えなくて大丈夫です。
さいごに
あなたは、もう十分すぎるほど頑張っています。
この記事を読んでくれているということは、それだけで、あなたが家族を大切に思っている証拠です。介護している人も、それを支えている人も。どうか、その優しさを少しだけ、自分自身にも向けてあげてください。
休んでいいんです。頼っていいんです。あなたが笑顔でいられることが、巡り巡って、いちばんの介護になるのだから。
介護は、基本は家族がするもの——そう思ってきました。でも、現実には、家族だけでは抱えきれない時が必ずやってきます。施設にお願いする、という選択も、その一つです。
私がいま願っているのは、その時をできるだけ穏やかに迎えられること。一気に燃え尽きてしまうのではなく、細く、長く。介護する人自身の人生も大切にしながら、ゆっくりと、長いお見送りができたらいいなと思っています。
そのためにこそ、使える制度やサービスは、遠慮なく頼ってほしいのです。あなたが倒れないことが、いちばん大切なのだから。


コメント