父の兄が、実家に顔を出したいと言ってきた。
結局は断ることになったのだが、そこに至るまでの数日間が、本当に大変だった。
父なりの配慮と、母の不安
母は今、家事がほとんど難しい状態だ。お茶を出したり食事の用意をしたりは、もう期待できない。私は父に「断った方がいい」と伝えたけれど、父は自分なりに考えていた。
個室のある和食屋を予約して、外で会えばいい——と。しかもちゃんと母のいる前で相談して、母も一緒に決めたことだった。
でも、母の記憶はそこに留まらなかった。
「箱に小さな穴が空いているように」記憶がこぼれ落ちる
本当のことと妄想が入り混じり、毎日父を責めた。
「なぜ来るのか」「そんな大勢泊められない」「○○さんは自慢ばかりだから聞きたくない」
同じことを、一日に何度も何度も繰り返す。本当のことを話しても、全く信じない。
「そういう男だよ。勝手に何でも決めて」「自分の親戚ばかり大事にする」「いつもそうだ」
機嫌が悪くなると、ものを投げたり、扉をきつく締めたりする。それはもうすごい音で——ある日、母は自分で扉に指を挟んで骨折してしまった。
この後、別の場面でも骨折が起きることになります。認知症の母が骨折した。介護が一段階重くなった日
父が諦めた日
結局、父が親戚に断りの連絡を入れた。
それで母は落ち着いた。少しだけ物腰が柔らかくなった。
「大変だったね」と父に言うと、心底疲れた顔でただ頷いた。
父は、普通に自分の兄弟とも会えない。それが今の現実だ。何かをしようとするたびに、母の不安が爆発する。父が正しいことをしていても、それが母を傷つけることがある。
介護をしていると、「正しいこと」と「うまくいくこと」が全然違うと思い知らされる。
父と母の日々については、認知症の母と、怒鳴る父と、疲れ果てた私の話。にも書いています。
次女の「しょーがない!」
そんな重たい空気の中で、次女がひとこと言った。
「しょーがない!」
笑いながら。
その一言で、少し息ができた気がした。深刻になりすぎず、笑えるところでは笑う。介護を続けていくために、それはきっと大切なことだと思う。
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